2021/4/28 (更新日:2023/9/22)
電動キックボードの法律改正で規制緩和!2023年7月の新法律施行前後で法律を比較します
電動キックボードが手軽に便利に利用できるように規制緩和されたのを知っていますか?
2023年7月1日に電動キックボードの法律の内容が改正されました。
電動キックボードの法律を改正前後で比較して解説します。
法律に違反することなく電動キックボードを生活に組込んで、安全に活動的な生活を送れることを望みます
目次
1. 電動キックボードの法律改正で規制緩和!新法律施行前後の法律の比較
1-1. 電動キックボードの法律改正の経緯
1-2. 個人購入できる電動キックボードの法律改正による規制の緩和
2. 2023.07.01.以降の電動キックボードの法律改正の詳細
2-1. 電動キックボードの法律改正により規制緩和された項目
2-2. 電動キックボードの法律改正で規制緩和できる条件
2-3. 2023.07.01以降の電動キックボードの法律改正の概要
2-4.「通常走行モード(仮)」「歩道走行モード(仮)」とは?
3. 2023.06までの電動キックボードの法律上の扱い
3-1. 個人購入の電動キックボードで走行するときの規制
3-2. 「シェアリング」「シェア事業」での規制:参考
1.電動キックボードの法律改正で規制緩和!新法律施行前後の法律の比較
2-1. 電動キックボードの法律改正の経緯
2023.06までの規制は、
個人購入* できる「電動キックボード」についての規制内容
個人購入* :レンタル業者のシェア事業の電動キックボードは扱いが異なるので、個人が購入する電動キックボードについて説明しています。
公道で利用する場合は、電動式のモーターにより走行する「電動式キックボード」は、原動機が内燃機関(エンジン)ではなく、電動機ですが、定格出力が0.60キロワット以下の場合は原動機付自転車とされています。
(道路交通法第2条第1項第10号)
2023.06までの規制は、2023.07以降も継続されています。
2023.07に新区分を設け(全体の一部の区分)、その区分について規制を緩和しています。
新区分外の電動キックボードは以前同様の規制に従わないと罰則が課せられるのでご注意を!
2023.07.01.以降の規制は、
2-2. 個人購入できる電動キックボードの法律改正による規制の緩和
個人で購入できる電動キックボード(含む電動キックスクーターなど)の2023.07.01.以降の規制のポイントをまとめます。
低速に制限して規制を緩和する分類を追加
注意:ただし、歩道*1 は「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置されている歩道限定で、最高速度6km/h以下で走行する必要があり、特例特定小型原動機付自転車という分類になります!
2023.07.01以降の規制のまとめ
今までの規制は残り、一部条件の場合に規制が緩和されます。
個人購入(=原動機付自転車) 2023.06まではこの分類のみ | 個人購入(=低速に制限して) 2023.07.01から追加(一部の区分) | |
保安部品*3 | 必須 | 必須 |
免許証 | 必須 | 不要 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 16歳以上 |
ヘルメット | 必須 | 努力義務 |
車両分類 | 原動機付自転車*2 | 特定小型原動機付自転車*1 |
変速機 | ー | オートマチックトランスミッション |
走行許可域 | 車道 | 車道・路側帯・自転車レーン (条件付きで歩道*3) |
最高速度 | 30km/h | 20km/h 6km/h:歩道走行の場合 走行中の最高速度変更は不可 |
最高速表示灯 | ー | 最高速表示灯を備える ・通常走行:点灯 ・歩道走行:点滅 |
乗車姿勢 | 立席/座席あり | 立席/座席あり |
二人乗り | 禁止 | 禁止 |
ナンバープレート | 必須 | 必須 |
自賠責保険 | 契約必要 | 契約必要 |
*1 特定小型原動機付自転車とは、原付のうち電動で定格出力が0.6kW以下、長さ190㎝、幅60㎝、以下かつ最高速度20km/h 以下のもの。性能等確認シールが貼られたもの
*2 原動機付自転車は、定格出力が0.6kW以下のもの。0.6kW~1.0kW以下は、自動二輪車になります。
*3 歩道を走行できるのは特例特定小型原動機付自転車という、特定小型原動機付自転車の中の最高速度6km/h 以下のもの
*3 保安部品とは、
ヘッドライト、警報器、バックミラー、安全なバッテリ、最高速度表示灯(特定小型)、ブレーキ、ウインカー、テールランプ、リフレクター、ブレーキランプ等
*公道で走れる電動キックボードをお探しの方は下の記事を参照ください。
電気でスマートに公道を移動した後はコンパクトに収納ができる電動キックボードのおすすめのモデルを紹介します。【SDGs】
3.2023.07.01.以降の電動キックボードの法律上の扱いの詳細
3-1. 規制緩和された項目
- 路側帯・自転車レーンを走行可能’「通常走行モード(仮)」
- 条件付きで歩道を走行可能「歩道走行モード(仮)」
- 免許証が不要
- ヘルメットが努力義務で、必ずしも着用していなくての良い
- 16歳以上であれば利用可能
3-2. 規制緩和の条件
- 「特定小型原動機付自転車」という新区分を新設し、規制の条件を設けた。
- 特定小型原動機付自転車とは、
原動機付自転車のうち電動で定格出力が0.6kW以下、
長さ190㎝、幅60㎝、以下
かつ最高速度20km/h 以下のもの - 走行中に最高速度設定ができないもの
- オートマチック・トランスミッションのもの
- 灯火が緑色で点灯・点滅できる最高速度表示灯を備えるもの
- 保安部品を付けること
- ナンバープレートを付けること
- 自賠責保険の契約をすること
- 性能制限を満たせば、座席の付いたタイプ(一見、電動バイク)も、特定小型原付として扱われます。
- 個人で購入するものに加え、シャアリングの電動キックボードも特定小型原動機付自転車として同じ区分のものが多いと推測できます。(但し、業者により異なります。)
3-3. 2023.07.01以降の全体の規制
個人購入(公道走行ヴァージョン*1) | 個人購入(公道走行規制緩和ヴァージョン) | シェアリング*2(実証実験):推測 | |
保安部品 | 必須 | 必須 | 必須 |
免許証 | 必須 | 不要 | 不要 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 16歳以上 | 16歳以上 |
ヘルメット | 必須 | 努力義務 | 努力義務 |
走行許可域 | 車道 | 車道・路側帯・自転車レーン(条件付き歩道) | 車道・路側帯・自転車レーン(条件付き歩道) |
車両分類 | 原動機付自転車 | 特定小型原動機付自転車 | 特定小型原動機付自転車 |
最高速度 | 30km/h | 20km/h | 20km/h |
乗車姿勢 | 立席or座席有り | 立席or座席有り | 立席or座席有り |
ナンバープレート | 必須 | 必須 | 必須 |
自賠責保険 | 契約必要 | 契約必要 | 契約必要 |
公道走行ヴァージョン*1:電動機の定格出力が大きいなどにより、車両区分が自動二輪に該当する場合もあります。
シェアリング*2:シェアリング運営会社により個別の対応が異なる場合があります。
保安部品とは、ヘッドライト、警報器、バックミラー、安全なバッテリ、最高速度表示灯(特定小型)、ブレーキ、ウインカー、テールランプ、リフレクター、ブレーキランプ等
3-4.「通常走行モード(仮)」「歩道走行モード(仮)」とは?
個人購入(公道走行規制緩和ヴァージョン)は、走行する場所に応じて、
車道では、車の流れを妨げない程度の20km/h以下で走行
歩道では、人の流れを妨げず、人の安全を確保できるように6km/h以下で走行
*電動車椅子と同じ速度に設定
特定小型原付の2つのモード
速度制限 | 走行できる場所 | 識別灯 | |
通常走行モード | 6km/h以上~20km/h以下 | 車道・自転車レーン走行・路側帯 | 緑色点灯 |
歩道通行モード | 6km/h以下 | 歩道通行*1・路側帯 | 緑色点滅 |
通常走行モードは、特定小型原動機付自転車。
歩道走行モードは、特定小型原動機付自転車の中の特例特定小型原動機付自転車。
歩道走行モードの設定がない電動キックボードは、歩道走行はできないので電動キックボードから降りて歩く必要があります。
4.2023.06までの電動キックボードの法律上の扱い
個人購入(公道走行ヴァージョン) | シェアリング(実証実験):参考 | |
保安部品 | 必須 | 必須 |
免許証 | 必須 | 必須 |
年齢制限 | 免許に準ずる | 免許に準ずる |
ヘルメット | 必須 | 任意 |
走行許可域 | 車道 | 車道・自転車レーン |
車両分類 | 原付 | 小型特殊自動車 |
最高速度 | 30km/h | 15km/h |
乗車姿勢 | 立席or座席有り | 立席のみ |
ナンバープレート | 必須 | 必須 |
自賠責保険 | 契約必要 | 契約必要 |
「原動機付自転車」は、定格出力が0.6kW以下。
0.6kW~1.0kW以下は、自動二輪車になります。
4-1. 個人購入の電動キックボードで公道を走行するときの制約条件
原動機付自転車の扱いでは、下記のような制約があります。
● 前照灯、番号灯、方向指示器等の安全装備の整備
● 事故を想定して、他人保護のための保険への加入
● 原動機付自転車を所持するための税金の納付
● 公道を移動するためのヘルメットの着用など交通法令の遵守
【 京都府警察のホームページ:「電動キックボード」・「電動スクータ」の法律上の解釈 】
をもとに、詳細の内容を下に整理します。
(1) 道路を走行する車両の安全を確保する装備が必要
前照灯、番号灯、方向指示器等が道路運送車両法の保安基準に適合していなければいけません。
適合しない状態で道路(車道など)を走行すると、道路交通法第62条の違反(整備不良車両運転)として処罰される場合があります。
(罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金)
但し、最高速度が20km/h未満の場合は方向指示器、速度計、尾灯、制動灯など不要になるようです。
(2) 自動車損害賠償保障の加入が必要
道路運送車両法上の原動機付自転車は、自動車損害賠償保障法に規定する自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約が締結されていなければいけません。
(罰則:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
自賠責保険は他人に対する補償のみです。
ものを破損させた場合に補償するには任意保険が必要です。
(3) 市町村への税金の納付が必要
道路運送車両法上の原動機付自転車の所有者は、地方税法に規定する軽自動車税(市町村税)を納付する義務があります。
市町村条例で軽自動車税の納付の際に交付される標識(当該市町村から交付されるもの)の取り付けも義務付けられています。
標識の取り付けは、京都府道路交通規則(公安委員会規則)により、運転者の遵守事項として定められています。
(罰則:5万円以下の罰金)
(4) 道路交通法遵守の必要
0.60キロワット以下の原動機を持つ電動キックボードは、原動機付自転車としての取り扱いを受けます。
したがって、原動機付自転車を運転することができる運転免許を受けないで運転することはできません。
道路では、車道の通行、ヘルメットの着用などの原動機付自転車としての通行方法に従う必要もあります。
*公道で走れる電動キックボードをお探しの方は下の記事を参照ください。
電気でスマートに公道を移動した後はコンパクトに収納ができる電動キックボードのおすすめのモデルを紹介します。【SDGs】
*制約条件の改善はできないの?
電動キックボードは、公道を移動する乗り物としての制約条件があります。
コンパクトで持ち運びができる電動キックボードの使い方はいろいろです。
電動化が推進されている昨今、電動キックボードに関しても、新しい試みがされています。
電動キックボードを拡めるためのいくつかの課題も見えてきています。
*1:産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」
4-2. 「シェアリング」「シェア事業」での制約条件:参考
新事業活動を行おうとするレンタル業者が、支障となる規制の特例措置を提案しました。
安全性等の確保を条件として、具体的な事業計画に即して、規制の特例措置の適用を経済産業省が認めた制度です。2021.02.08
シェアリングについては、継続して見直しがされているので、
利用する時点で業者に制約事項を確認して利用するようにしてくださいね!
特例が認められる条件(制約)は、
条件1:最高速度15キロメートル毎時を超える速度を出せないこと。
条件2:運転者席は、立席であること。
条件3:原動機として、電動機を用いた規定の大きさ以内のキックボード
条件4:小型特殊自動車を運転することができる免許を所持している。
特例で、認められた内容は、
特例1:押して歩いている間は、歩行者として扱う。
特例2:乗車用ヘルメットの着用が道路交通法上義務付けられないで任意とする。
特例3:車道に加えて普通自転車専用通行帯と自転車道の走行を認める。
特例4:一方通行路での双方走行(逆方向への走行)も認める。
というものです。
但し、電動キックボードが関連する交通事故があった場合などは国家公安委員会へ報告する必要があります。
詳細は、「立ち乗り電動スクーター」に係る特例措置を参照ください。令和3年4月8日通達
残念なことに、レンタルの電動キックボードのみが対象です。
今回の制約に適合しない個人で購入した電動キックボードは正規の法律に従って公道を走行ください。
*レンタル業者により異なる内容となる可能性があるので、試乗するときに走行上の制約は確認してください。
5. まとめ
電気を動力に動く電動キックボードは使い方が広がってきています。
公園でレジャーで楽しむことも、移動手段として利用することもできます。
疲れないで長距離を移動できるので、体力に自信がない人も使えます。
また、中距離の移動を目的にも使えるようにもなりました。
新しく若い世代の生活に溶け込むことが期待されています。
電動キックボードの法律/規制について説明しました。
新しい乗り物なので制約条件も柔軟に変化して普及していくことが考えられます。
内容が理解できない場合は、必ず確認してから使用するようにしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
極力正確に伝えるように心がけました。
しかし適切ではないところがあるかもしれません。
足りない部分、補足、訂正などが有りましたらご指摘等お願いいたします。
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