2021/5/2 (更新日:2021/5/11)
エンジンとモーターを動力源に持つハイブリッド自動車の代表的な3つのシステム構成と動作をお話します。【SDGs】
ハイブリッドにはいくつか種類がありますが、違いがわかりますか?
ハイブリッドの代表的な3つのシステムの構成と動作の違いを説明します。
3種類のハイブリッドの特徴が理解できます。
筆者は、長年ハイブリッドの開発に携わっていますので実感として説明いたします。
市販されているハイブリッド車の違いがわかるドライバーを目指しましょう。
技術者ならシステムの視点を持つことで開発に違いが出るでしょう。
目次
1.ハイブリッドの目的
2.ハイブリッドの種類:パラレル方式
3.ハイブリッドの種類:シリーズ方式
4.ハイブリッドの種類:シリーズパラレル方式
5.まとめ
エンジンとモーターを動力源に持つハイブリッド自動車の代表的な3つのシステム構成と動作をお話します。【SDGs】
1. ハイブリッドの目的
ハイブリッドを開発する目的は、特徴の異なる2種類の動力源を持つことで車の燃費を良くすることです。
燃費が良くなりガソリン消費が減ることで、大きく2つの良いことがあります。
- ドライバーの燃料代が減ります。
- 大気に発散されるCO2の放出量が減ることで環境保護に寄与できます。
*ハイブリッドの原理については、こちらの記事を参照ください。
動力源がエンジンとモーターのハイブリッドが燃費が良くて地球に優しい乗り物である原理をお話します【SDG’s】
燃費を良くするために考えられたのが、今回紹介する3つのシステムです。
市販されているハイブリッドは、どれかのシステムに分類されます。
わかりやすく違いがわかるように、メインの内容を説明します。
簡単にするためどうしても乱暴な部分が生じますが、そこは許してください。
また、ハイブリッドの背反として2つの動力源を持つということは、値段が高くなります。
ただし、市場で受け入れられているということは、総合的にメリットが大きいと理解しています。
2.ハイブリッドの種類:パラレル方式
エンジンの出力とモーターの出力が車輪に並行(パラレル)に配置されている構成。
エンジンの動力とバッテリの電力で生じるモーターの動力が直接タイヤに伝えられます。
2-1. ハイブリッド:パラレル方式の構成
ハイブリッドの動力源
動力1:エンジン系(黄色)
動力2:モーター系(青色)
w/インバータ
エネルギーを一時溜める
蓄電:バッテリ
エネルギーの流れは、
システムの出力は、
①エンジンの動力と、
②モータの動力を
加えたり減らしたりします。
2-2. ハイブリッド:パラレル方式の動作
動作モードのパターン(全方式共通)
下り坂 ⇒ 平坦路 ⇒ 上り坂 のパターンでの動作を「動作モード」毎に説明します。
動作モード[A]エネルギー回収
タイヤの回転力をモータで発電
発電したエネルギーをバッテリに充電
*エンジンを切り離すと回収できるエネルギーが増えます。
動作モード[B]EV走行
バッテリ電力を使いモータで走行
*エンジンを切り離すとエネルギーの損失が減ります。
動作モード[C]モータアシスト
エンジン始動し、エンジン動力で走行
エンジンのトルクが不足な分はモータからアシスト
動作モード[D]エンジン走行
エンジンの動力だけで走行
コンベの車が走るのと同じ
動作モード[E]エンジン最適効率 & モータアシスト
効率が良い領域でエンジンを動かします
出力トルク =
エンジントルク + モータトルク
モータはエンジン出力の不足を補うもしくは過剰分を吸収します
3.ハイブリッドの種類:シリーズ方式
エンジンとモーターはバッテリを介して直列(シリーズ)に配置される構成。
・エンジンの動力で発電したエネルギーを一旦バッテリに充電します。
・バッテリに充電されているエネルギーで動くモーターの動力がタイヤに伝えられます。
3-1. ハイブリッド:シリーズ方式の構成
ハイブリッドの動力源
動力1:エンジン系(黄色)
動力2:モーター系(青色)
w/インバータ
エネルギーを一時溜める
蓄電:バッテリ
エネルギーの流れは、
システムの出力は、
①エンジンの動力で発電する
②モータの動力で走行する
エンジンで発電したエネルギーにバッテリのエネルギーを加えたり減らしたりします。
3-2. ハイブリッド:シリーズ方式の動作
動作モードのパターン
下り坂 ⇒ 平坦路 ⇒ 上り坂 のパターンでの動作を「動作モード」毎に説明します。
パターンは共通のパターン参照
動作モード[A]エネルギー回収
タイヤの回転力をモータで発電
発電したエネルギーをバッテリに充電
動作モード[B]EV走行
バッテリ電力を使いモータで走行
動作モード[C][D][E]エンジン最適効率 & モータ走行
エンジンの効率が良い領域で発電しバッテリを充電
バッテリ電力を使いモータで走行
*設計思想によりエンジン出力は決めます
*シリーズ方式も大きく2種類ありますが、エンジンを積極的に使用する方式について説明しています。
4.ハイブリッドの種類:シリーズパラレル方式
シリーズ方式とパラレル方式の両方の動作ができる構成。
シリーズ動作
・エンジンの動力をジェネレータで発電してバッテリに充電します。
・バッテリのエネルギーで動くモーターの動力がタイヤに伝えられます。
パラレル動作
・エンジンの動力をジェネレータで受けてタイヤに伝えます。
・一方、モーターの動力も平行にタイヤに伝えます。
4-1. ハイブリッド:シリーズパラレル方式の構成
ハイブリッドの動力源
動力1:エンジン系(黄色)
動力2:モーター系(青色)
w/インバータ
エネルギーを一時溜める
蓄電:バッテリ
エネルギーの流れは、
システムの出力は、
①エンジンの動力をGで支えて動力を分割
②エンジンの動力で発電
③モータの動力で走行
パラレル動作:①+③
シリーズ動作:②+③
4-2. ハイブリッド:パラレルパラレル方式の動作
動作モードのパターン
下り坂 ⇒ 平坦路 ⇒ 上り坂 のパターンでの動作を「動作モード」毎に説明します。
パターンは共通のパターン参照
動作モード[A]エネルギー回収
タイヤが回転しているエネルギーをモータで発電
発電したエネルギーをバッテリに充電
動作モード[B]EV走行
バッテリ電力を使いモータで走行
*エンジン出力が零
動作モード[C]モータアシスト
モータでEV走行
エンジン始動し、エンジン動力を分割
エンジンのトルクが不足な分はモータからアシスト
動作モード[D]エンジン走行
エンジンの動力だけを分割しエンジンエネルギーのみで走行
出力トルク =
エンジントルク + モータトルク
エンジンパワーで発電した電気でモータは出力
動作モード[E]エンジン高効率 & モータアシスト
効率が良い領域でエンジンを動かします
出力トルク =
エンジントルク + モータトルク
モータはエンジン出力の不足を補うもしくは過剰分を吸収します
*シリーズパラレル方式は複雑なので、下の記事で詳しい内容を説明します。
エンジンとモーターを動力源に持つシリーズパラレル方式のハイブリッドの動作理論を共線図を使って理解しましょう【SDGs】
5.まとめ
ハイブリッドの代表的な3種類のシステムの動作を説明しました。
システムの得失は、選択する会社/技術者により違ってくると思います。
ぜひ、自分に適したシステムを選択してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
極力わかりやすい表現を心がけました。
しかし言葉での表現が難しく適切ではないところがあるかもしれません。
足りない部分補足などが有りましたらご指摘等お願いいたします。
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