2023/11/9 (更新日:2023/11/9)
2024年からの電子帳簿保存法に従い、個人事業主が最低限の労力で帳簿処理をするやり方!ムダが嫌いな人限定
2024年1月から電子帳簿保存法の対応で何をすれば良いかわかりますか?
個人事業主・フリーランスが、2024年1月から緩和された電子帳簿保存法に従ってムダなく帳簿処理するやり方をわかりやすく解説します。
個人事業主・フリーランスが、避けては通れない電子帳簿保存法を理解しフォローできるようになりましょう。
目次
1. 2024年からの電子帳簿保存法に従い、個人事業主が最低限の労力で帳簿処理をするやり方
2. 電子帳簿保存法を個人事業主・フリーランスにわかりやすく
3. まとめ
1.2024年からの電子帳簿保存法に従い、個人事業主が最低限の労力で帳簿処理をするやり方
電子帳簿保存法は大きく3項目からなります。
電子帳簿保存法は、” 経理の電子化による生産性向上等” が目的です。
そのため、すべての人が “守らなければいけない項目” が一種類、利用したら便利になる人が使えるように整備した項目が二種類あります。
ここでは、 “守らなければいけない項目” を中心に説明していきます。
電子帳簿保存法上の区分
電磁的な記録による保存は大きく三種類に区分されます。
すべての人が守らなければいけないのは、【電子取引データの保存】についてです。
①電子帳簿等保存⇒任意(利用したい人のみ)
➁スキャナ保存⇒任意(利用したい人のみ)
③電子取引⇒必須(すべての人が守らなければいけない!)
最低限、③電子取引のデータ保存を守れば電子帳簿保存法に準拠していることになります。
1-1.電子取引データとは
電子取引のデータとは、メールやインターネットを介して電子的にやり取りした取引データです。
以下に例を示します。
- インターネット販売(Amazonやネットショッピング)の領収書
- メールの請求書・領収書やメール添付のPDF請求書・領収書
- カード明細や交通系ICカード明細
- スマホアプリでの決済情報
- サブスクリプション情報
- ネットバンキング振込時の原稿明細画面
- その他
1-2.電子取引データの保存方法
電子取引データの保存方法には厳格な決まりがあります。
しかし、2024年の時点では現場の状況に合うように緩和措置があります。
それは、「相当の理由がある場合は緩和措置が適用される。」というものです
では、相当な理由とは?
「人手不足の事業者、資金不足などにより、厳格な決まりにあうシステムの構築が間に合わない。」というものです。
では、緩和措置とは?
「電子取引データを紙と電子データで保存しておけば良い。」というものです。
すなわち、相当の理由がある場合の緩和措置は以下を同時に守ることです。
- 電子取引のデータを紙で保存する
- 元データ(=電子データ)は削除しない
- 元データは専用フォルダにまとめて格納保存しておく
これなら誰でも難しくなく守ることができますね。
ただし、パソコンなどの電子機器の準備だけはお願いします。
一方で、罰則もありますので注意が必要です。
従わなかった場合、青色申告の承認が取り消されます。
そのため、電子保存データの削除・消失されない対策が必要です。(クラウドサービス、専用ソフトなど)
参考に、相当の理由がない場合の厳格な決まりを追記すると下記です。
- 取引時のタイムスタンプをつける。
- データを訂正・削除できないように保存する
- データに検索機能をつけ、かつすぐに見れるようにしておく
⇒人手がかかったり、専用ソフトなどが必要になったり対応に負担が発生しすべての事業者が対応するのは大変ですね。
厳格な決まりについては、対処方法を次章で説明します。
注意!
令和5年12月31日までに行った電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありません。(事前申請等は不要)
令和6年1月から、上記で説明している電子データの保存方法が必要になりました。
2.電子帳簿保存法を個人事業主・フリーランスにわかりやすく
ここで、電子帳簿保存法の全体像を説明しようと思います。
すべての人が “守らなければいけない項目” が一種類、
利用したら便利になる人が使えるように整備した項目が二種類
電子帳簿保存法全体の考え方
どの項目でもやる場合は形式を揃える必要があり統一したやり方があります。
- 電子データでやり取りした「注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などの電子データ」を電子データとして保存しなければいけません。
- 紙でやり取りした場合は、紙に加え必要情報が含まれる電子データを保存しなければいけません。
- 改ざん防止のための措置をとりデータを保存する必要があります。
- データは「日付・金額・取引先」で検索できる必要があります。
- 設備として、ディスプレイやプリンタを備え付ける必要があります。
電子帳簿保存法の個別の項目についてもう少し詳しく説明します。
2-1.電子帳簿等保存⇒任意(利用したい人のみ)
税法上保存が必要な帳簿・書類をパソコンで作成した場合は、
プリントアウトせずに電子データのまま保存できます。
対象は、
- 会計ソフト作成データ
- パソコンで作成したデータの控えなど
ただし、データを作成するときは、電子帳簿保存法の考え方に準拠している必要があります。
*詳しく知りたい方は、「帳簿・書類のデータ保存」を参照ください。
2-2.スキャナ保存⇒任意(利用したい人のみ)
紙の領収書・請求書などを、紙自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データで保存することができます。
対象は、
- 取引相手から紙で受け取った書類
- 自分が手書きなどで作成し取引相手に紙で渡す書類の写しなど
スキャナ保存の特別な手続きはありません。
紙を廃棄できるため省スペースになるので活用が期待できます。
*詳しく知りたい方は、「スキャナ保存」を参照ください。
2-3.電子取引のデータ保存⇒必須(すべての人が守らなければいけない!)
相当な理由で受けていた緩和措置が改善した場合や
相当な理由が適用できない場合は、
本来の厳格な決まりに従う必要があります。
厳格な決まり
- 取引時のタイムスタンプをつける
- データを訂正・削除できないように保存する
- データに検索機能をつけ、かつすぐに見れるようにしておく
厳格な決まりへの対応1
「取引時のタイムスタンプをつけ」
「データを訂正・削除できないように保存する」
の二項目に関しては、下記のような方法で両方を満たすシステムの構築することが考えられます。
タイムスタンプを付けたデータの改ざん防止措置をする方法例
・PDFやスクリーンショットなどのファイル形式で保存する方法
・国税庁から認定されたシステムを使う方法
*タイムスタンプ業者を知りたい方は、「認定を受けたタイムスタンプ業者」を参照ください。
厳格な決まりへの対応2
「データに検索機能をつけ、かつすぐに見れるようにしておく」
に関しては、下記のようなシステム構築が考えられます。
データに検索機能をつける方法例
・検索機能を持つシステムを構築する方法
・表計算ソフトで検索表を作成する方法
・ファイル名に規則的な名前を付ける方法
*詳しく知りたい方は、「電子取引」を参照ください。
3.まとめ
個人事業主・フリーランスが、2024年1月から緩和された電子帳簿保存法に従ってムダなく帳簿処理するやり方を極力わかりやすく解説しました。
参考にしてもらえれば幸いです。
全体をもっと詳しく知りたいときは下記を参照ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
極力正確に伝えるように心がけました。
足りない部分、適切でない部分、補足などが有りましたらご指摘等お願いいたします。
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