2025/4/22 (更新日:2025/4/22)
再生可能エネルギーを燃料にしているバイオマス発電の仕組みをわかりやすく解説します。【初心者用】

身近にある植物などを原料に発電するバイオマス発電の内容を理解していますか?
ここでは、まずバイオマス発電の仕組みを解説します。
また、バイオマス発電の原料にどのような種類があり、燃料にどのように変換するのか手段についても整理します。
環境技術を理解する一助としてご活用ください。
目次
- 再生可能エネルギーを燃料にしているバイオマス発電
- バイオマス発電の仕組み
- 多種多様なバイオマス原料
- バイオマス燃料への変換技術
- バイオマス燃料を用いたバイオマス発電の技術
1.再生可能エネルギーを燃料にしているバイオマス発電

バイオマス発電とは、バイオマス(生物資源)を原料とする燃料で発電をする発電方式です。

バイオマス発電の二酸化炭素の吸収と排出サイクル図
地球温暖化対策として化石燃料に代わる燃料として、バイオマス燃料が注目されています。
バイオマス燃料でも発電所で燃焼させれば二酸化炭素 CO2 は発生します。
しかし木や植物は、二酸化炭素 CO2 を吸収して成長します。
全体としては、大気中の二酸化炭素 CO2 は増加していないとみなしています。
これが、「カーボンニュートラル」の考え方です。
1-1. 効率
バイオマス発電効率:おおよそ、20%前後
多くの原料を遠方から集めることが必要でエネルギー効率は低いです。
1-1. メリット
(1)二酸化炭素が排出されていないという考え方で環境に優しい(カーボンニュートラル)
(2)比較的安定的に供給できる原料で再生可能かつ自給可能な循環型社会が実現できる
(3)廃棄物を有効活用できる
(4)林業業界などの活性化への貢献できる
(5)地域活性化に貢献できる
1-1. 課題
(1)燃料への変換施設や発電所などの初期費用がかかる
(2)エネルギー効率が低い
(3)燃焼時に、二酸化炭素以外の大気汚染物質を発生する可能性がある
(一酸化炭素、有機化合物、硫黄酸化物、PM2.5など)
(4)原料や廃棄物などの異臭や工場の騒音などの周辺住民との環境問題の可能性がある
(5)原料が不足する可能性がある
2.バイオマス発電の仕組み

バイオマス発電の原料となるバイオマスは、木材や植物などの再生可能な生物資源を指します。
バイオマス発電には、バイオマス(原料)を発電に適したバイオマス燃料に変換する必要があります。
そのバイオマス燃料を用いて、火力発電などの技術を使い発電して電気に変換します。

バイオマス発電の全体の仕組み
3.多種多様なバイオマス原料

バイオマスとは、動植物などの生物が作り出す生物資源で、石炭などの化石燃料を除いたものです。
木質系廃棄物、
農業残さ、
生ゴミなどや食品廃棄物、
家畜ふん尿、
下水汚泥、
産業用食用油
などが思い浮かびます。
バイオマス原料の主なものを分類すると以下になります。
バイオマスには、色々は用途があります。家畜の飼料、農地の土壌改良、自動車の燃料、そして発電/熱利用などです。
ここでは、発電に関係することについて解説していきます。
4.バイオマス燃料への変換技術

バイオマスを発電に利用するバイオマス燃料に変換する技術について整理します。
バイオマス原料を燃料へ変換する方法は、主に3種類あります。
直接燃焼 / 生物化学的変換 / 熱化学的変換
4-1. 直接燃焼
バイオマス原料をそのまま、もしくは燃焼しやすく加工してボイラーで燃焼させて発電する方法です。

廃木材などを適度な形状(チップ、ペレット)に整えて燃料とします。
可燃ごみ、家畜糞や下水汚泥などでそのまま燃料にできるものを使用します。
廃油は精製して燃料にします。
4-2. 生物化学的変換
微生物の働きを使い、バイオマス原料をバイオマスエネルギーに変換します。
バイオマス原料を微生物で発酵させてガスを発生させて発電する方法です。
発酵による返還なので、大変時間がかかる方法です。

微生物の働きでアルコールを発生させるエタノール発酵やメタン発酵などがあります。
生ゴミ、家畜糞や下水汚泥などを原料にしてメタンガスを発生させます。
生成したガスを用いてガスタービンやガスエンジンで発電します。
水分が多いため直接燃焼しにくい廃棄物などのバイオマスを変換するのに適用する方法です。
ただし、微生物に頼っているので、反応速度が遅く、反応が不完全になるなど課題があります。
4-3. 熱化学的変換
バイオマス原料に高温の熱を加えてガス化することで発電する方式です。

生成したガスを用いてガスタービンやガスエンジンで発電します。
5.バイオマス燃料を用いたバイオマス発電の技術

バイオマス発電の発電は、一般的には燃料に応じて従来の発電技術を活用しています。
従来の発電技術を使ったバイオマス発電方式を以下に示します。
5-1. 汽力発電の場合

汽力発電の場合
バイオマス燃料をボイラで燃やします。
発生した蒸気でタービンを回して発電します。
バイオマス燃料としては、木質系廃棄物や食品廃棄物を直接燃やしたり、
木質系廃棄物を固形燃料にしたり、
食品廃棄物、家畜ふん尿、下水汚泥から得られるメタンガスを燃やしたり
が考えられます。
5-2. 内燃力発電の場合

内燃力発電の場合
バイオマス燃料で内燃エンジンを回して発電します。
バイオエタノール、バイオディーゼルなどのバイオマス燃料使います。
エンジンを点火する燃料としては、
食品廃棄物、家畜ふん尿、下水汚泥を発酵化したメタンガスや、
食品廃棄物、農業残さ、木質廃棄物を改質して得られるエタノールやバイオディーゼルなどが考えられます。
5-3. ガスタービン発電の場合

ガスタービン発電の場合
バイオマス燃料から高温ガスを発生させ、ガスタービンを回して発電します。
木質系廃棄物や食品廃棄物などを熱分解ガス化したガスを使ったり、
食品廃棄物、家畜ふん尿、下水汚泥を発酵化したメタンガスなどで
ガスタービンを回します。
従来の発電について詳細を確認したい場合は下記を参照ください。
CO2の排出量が多いとされる発電方式の火力発電の仕組みを理解しよう【初心者用】
6.まとめ

バイオマス発電について解説しました。
カーボンニュートラルの考えにのっとっていろいろな発電方法が提案されています。
現在も新たな発電方法が検討されています。
参考にしてもらえれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
説明できる内容は限られていますが、極力正確に伝えるように心がけました。
足りない部分、適切でない部分、補足などが有りましたらご指摘等お願いいたします。
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