2025/5/1 (更新日:2025/5/1)
地熱発電の仕組みと日本における地熱発電の課題をわかりやすく解説します【初心者用】

親しみのある温泉にも使われている地熱を利用して発電する、地熱発電の仕組みはわかりますか?
火山の多い日本では地面の下に地熱というエネルギーが多くあります。
再生可能エネルギーの地熱を有効活用することが望まれます。
ここでは、地熱を使う地熱発電にフォーカスして、発電の仕組みを解説します。
ぜひご参照ください。
目次
- 地熱発電の仕組みと日本における課題
- 地熱発電の仕組み
1.地熱発電の仕組みと日本における課題

1-1. 地熱発電の仕組みの概要
地熱発電は、地下深くの「地熱貯留層」から、マグマの熱で温められた高温高圧の蒸気・熱水を取り出し、その熱エネルギーでタービンを回して発電します。
地熱発電では、地球がボイラーの役目をしています。
地下の熱エネルギーは、温泉や園芸ハウスなどでも活用されています。

地熱貯留層(ことばの説明)
地上に降った雪や雨は地下深くに浸透していきます。
火山地帯では、その水は地下深くでマグマの熱により高温の流体(地熱流体)になります。
この地熱流体が溜まっている場所を、地下貯留層といいます。
1-2. 地熱発電の効率
10~20%程度
地熱の約8割は発電に利用する前に空気中に逃げてしまいます
1-3. 地熱発電のメリット
(1) 燃料が必要ない
(2) 自然から取れる再生可能エネルギーである
(3) 火山が多くある日本には豊富な地熱資源量を持っていて、日本国内で自給できる
(4) CO2排出がほぼゼロである
(5) 天候や時間に限らず安定して発電できる
1-4. 地熱発電の課題
(1) 掘削作業など初期投資のコストが高い
(2) 地熱が蓄えられている場所を探すのを含めて開発に時間がかかる
(3) 一箇所で取り出せる地熱量が限られていて大容量の発電はできない
(4) 発電できる場所が自然の中なので景観を損なう懸念がある
(5) 処理水を還元することで用水を汚染する恐れがある
2.地熱発電の仕組み

2-1. フラッシュ式発電
地熱流体の温度が高い場所での地熱発電に適した方法です。
地熱貯留層から取り出した蒸気をそのまま用いて発電します。
【発電のフロー】
(1) 生産井(せいさんせい)で、地熱貯留層から地熱流体を取り出します。
(2) 気水分離器で、地熱流体を蒸気と熱水に分離します。
(3) 熱水は、還元井(かんげんせい)から地下に戻します。
(4) 蒸気でタービンを回し発電します。
(5) 発電に使った蒸気は、復水器で温水に戻します。
(6) 温水は冷却塔で冷やして復水器に循環して、蒸気の冷却に利用します。
(7) あふれた冷却水は、還元井(かんげんせい)から地下に戻します。

言葉の説明
生産井(せいさんせい):地熱貯留層から蒸気・熱水を取り出す井戸
気水分離器:取り出された蒸気・熱水を蒸気と熱水に分離する場所
還元井(かんげんせい):発電に使われた後の熱水を再び地下へ戻すための井戸
復水器:ガスタービンで使用後の蒸気を冷却して温水に戻す場所
冷却塔:復水器で温水に戻された水を更に冷却する場所
2-2. バイナリー式発電
地熱流体の温度が比較的低い場所に適した方法です。
地熱流体に含まれる熱水が多く蒸気が少ない状態です。
地熱貯留層から取り出した地熱流体で、二次媒体を温め蒸気にして、タービンを回して発電します。
【発電のフロー】
(1) 生産井(せいさんせい)で、地熱貯留層から地熱流体を取り出します。
(2) 蒸発器で、地熱流体の熱で二次媒体を温め蒸気にする。
(3) 二次媒体を温めた後の地熱流体は、還元井(かんげんせい)から地下に戻します。
(4) 二次媒体の蒸気でタービンを回して発電します。
(5) 発電で使った蒸気は、凝縮器で液体に戻します。
(6) 液体に戻った二次媒体は、液体循環ポンプで再度、蒸発器に送ります。
(7) 冷却水は、冷却塔で冷却して循環させます。

* ガスタービンを回して発電する方式は、火力発電で説明しているので詳細を理解したい場合は下記を参照ください。
CO2の排出量が多いとされる発電方式の火力発電の仕組みを理解しよう【初心者用】
3.まとめ

地熱発電について解説しました。
発電方法自体はシンプルですが、地熱を取り出すのは結構厄介な作業です。
しかし、火山が多い日本では活用していく必要がありそうです。
参考にしてもらえれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
説明できる内容は限られていますが、極力正確に伝えるように心がけました。
足りない部分、適切でない部分、補足などが有りましたらご指摘等お願いいたします。
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